詩「桜」◆自選・藤川幸之助詩集より

◆今年の桜の開花は早そうですね。今日は、3月31日(火)発売予定の自選詩集『支える側が支えられ 生かされていく』(致知出版社)から詩「桜」をお届けします。

桜1のコピー

 

 

 

 

 

 

藤川幸之助

目の前の春は一つでした
目の前の桜も一本でした
母が認知症になる前は

今、私には桜の花びらが
幾重にも重なって見えます
今年の桜の花びら
その奥に去年の桜
そのまた奥におととしの桜
その一番奥には
母が認知症になった二十数年前の桜
鮮やかにはらはらと
重なり重なり散っています

それらの春のどこかの桜の木の下で
ウロウロしている母に
「母さん、どこへ行くんね?」って
聞いたこことがありました
「お墓へ行きます」
と、母が言うと
「いっしょに行くぞ、母さん」
と、父は笑って言っていました

春になるとそんな父がふと
魂のような淡い色で
桜の枝に現れるのです
それまでどこに桜の樹があるのかさえ
すっかり忘れていたのに
だから、本当はこの季節が嫌いなんです
父が母を迎えに来ているようで
桜の花の下に連れて行くと
母は決まって虚空を見つめて
大声で叫ぶんです
詩集『支える側が支えられ 生かされていく』
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©Konosuke Fujikawa【詩・写真*藤川幸之助】
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