詩「化粧」◆3月16日(土)群馬県前橋市・講演会

◆本日は、詩「化粧」と3月16日(土)の群馬県前橋市での講演とトークセッションのお知らせです。◆今回の講演は、私の詩の朗読講演の後、拙著『母はもう春を理解できない』(harunosora)や『満月の夜、母を施設に置いて』(中央法規)の編集を手がけた尾崎純郎さんと認知症ケア学会でお世話になっている永島徹さんとの鼎談です。前橋市の皆さん是非ご来場ください。
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化粧
      藤川幸之助

あの日、母の顔は真っ白だった。
口紅と引いたまゆずみが
まるでピエロだった。
私の吹き出しそうな顔を見て
「こんなに病気になっても
化粧だけは忘れんでしっかりするとよ」
父が真顔で言った。

自分ではどうにも止められない
変わっていく心の姿を
母は化粧の下に隠そうとしたのか。
厚い化粧でごまかそうとしたのか。
それにしても
隠すものが山積みだったのだろう
真っ白けのピエロだった。

その日以来
父が母の化粧品を買い、
父が母に化粧をした。
薬局の人に聞いたというのメモを見ながら
父が母の顔に化粧をした。
真っ白けに真っ赤な口紅
ピエロのままの母だったけれど
母の顔に化粧をする父の姿が

四十年連れ添った二人の思い出を
大切に描いているようにも見えた。

       *

父が死んで
私は母の化粧はしないけれど
唇が乾かないように
リップクリームだけは母の唇にぬる。
その時はきまって母は
口紅をぬるときのように
唇を内側に入れ
鏡をのぞくように
私の顔を見つめる

『支える側が支えられ
   生かされていく』致知出版より
  
◆日時:2024年3月16日(土)PM 2:00〜PM 5:00
◆場所:群馬県前橋市 群馬建設会館2階ホール
◆参加費無料 定員150名 応募方法【チラシをご覧ください】
◆詩✖️福祉 講演「支える側が支えられるとき」とトークセッション
【講演】:詩人・藤川幸之助
【トークセッション】
harunosora代表取締役 尾崎純郎さん
NPO法人風の詩 理事長 永島 徹さん
詩人・藤川幸之助
◆応募方法(添付のポスターをご覧ください)
◆お問い合わせ
前橋市地域包括支援センター西部 
山田さん 電話:027-255-3100

©FUJIKAWA Konosuke
【詩・文】藤川幸之助

詩「母よ!あなたは」◆親は親のままで

◆朝起きて鏡の中のくたびれ果てた自分の姿に、「コウノスケ、頑張れよ!」と声をかけてみた。その声が父にそっくりで、何か父に励まされているような感じになった。◆母は認知症になっても財布の中に、自分の父母の写真を大事に持っていた。この歳になっても「お父さん!お母さん!」かと驚いたが、いくつになっても親は親のままなのだと、今朝私も思ったのだった。◆今日は詩「母よ!あなたは」を。

母よ!あなたは
     藤川幸之助
母よ!あなたは
認知症になって
歩かなくなった。
しかし私の歩く姿に
あなたは生きている。

母よ!あなたは
認知症になって
しゃべらなくなった。
しかし私の声色の中に
あなたは生きている。

母よ!あなたは
認知症になって
考えなくなった。
しかし私の精神の中に
あなたは生きている。

そして
母よ!あなたは
この世にいなくなった。
しかし認知症のあなたと歩いた
二十四年間、その一日一日が
私の生き様の中に
とこしなえに刻まれ
あなたは生き続ける。
【未発表】
©FUJIKAWA Konosuke
【詩・文】藤川幸之助

◆書籍の詳細や講演のお申し込みは
◆藤川幸之助Web ↓↓↓
http://www.k-fujikawa.net/

月が体から (2)-18

詩「母の日記」◆2月4日(日)南足柄市講演

◆2月4日(日)の神奈川県南足柄市での講演のお知らせです。お近くの方は是非ご来場ください。◆母の日記は過去に書かれたものだったが、私には未来の方から私を導く励ましのように響いていた。今日は詩「母の日記」を。

母の日記
     藤川幸之助
認知症が進む中でも、
母は日記を書き続けていた。
日記は、毎日同じ文面で始まり、
幾行かの出来事が書いてあって、
毎日同じ文面で終わっていた。
時には前の日の日記を
そのまま写しているときもあった。

「知っているんだけど」と前置きしながら、
簡単な字を何度も何度も聞く母。
優しく教える父。
私が日記をのぞくと
母は怒ったように
書くのをやめてしまっていた。

日がたつにつれて、
誤字や脱字が目立ち、
意味不明の文が増えていく。

もう日記なんて書かなくなった母。
私はそんな母の日記をくりながら、
自分の名前の書いてある箇所だけを探す。
どんなにか母に心配をかけてたことにも、
ひどく母と言い争ったことにも、
私の部分には、
「あの子はやさしい子だから」と
書き添えてある。
いつか私が母の日記を読む日が
来るのを知っていたかのように
「あの子はやさしい子だから」と
必ず書き添えてある。
『支える側が支えられ生かされていく』
致知出版より

◆日時:2024年2月4日(日)PM 1:30〜PM 4:00
◆場所:神奈川県南足柄市 南足柄市文化会館小ホール(定員292席)
◆FAX・郵便はがき、Googleフォーム(チラシQRコード)での申込
◆令和5年度足柄上地区在宅医療・介護連携推進事業 地域講演会
◆お問い合わせ
足柄上地区在宅医療・介護連携支援センター
電話:0465-43-8172
©FUJIKAWA Konosuke
【詩・文】藤川幸之助

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詩「手をつないで見上げた空は」◆1月28日(日)大牟田市講演

◆この度の「令和6年能登半島地震」により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。想像もつかないほどのおつらい日々が続いていらっしゃると拝察いたします。被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

◆本日は、詩「手をつないで見上げた空は」と1月28日(日)の福岡県大牟田市での講演のお知らせです。

手をつないで見上げた空は
藤川幸之助
幼い頃
手をつないで見上げると母がいた
青空は母よりもっと遠くにあって
大きな白い雲が一つ流れていた
幸せのことなんて考えたことなかった
私がつまずき失敗をすると
私の手を両手で優しく包んで
母はいつも青空の話をした
雲が流れ雲に覆われ
青空は見えなくなり
時には雨が降るから
青空を待ちこがれて
青空の美しさに
心打たれるんだと
何度失敗して何度つまずいたことか
そして何度この話を聞いたことか
認知症の母との日々の中で
苛立ちという雲が出て
悲しみという雨が降った
私は何度も失敗してつまずいても
母は何も言ってくれなくなったが
手をつないで散歩をすると
いつも母は静かに空を見上げていた
青空がただ頭上に広がっている
幸せもまたただあるもの
求めるのではなく
気づくものなんだ
と母と手をつないで
空を見上げるといつもいつも思う
『支える側が支えられ生かされていく』
致知出版より

◆日時:2024年1月28日(日)
PM 1:00〜PM 3:00
◆場所:福岡県大牟田市
大牟田文化会館・小ホール
◆事前申し込みが必要です。
電話0944-85-0470
◆認知症ケア・市民向け講演
◆お問い合わせ
大牟田市介護サービス事業者協議会 (大牟田市役所福祉課内)
認知症ライフサポート研究会
電話:0944-85-0470
©FUJIKAWA Konosuke
【詩・文】藤川幸之助

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私【わたし大賞】選定委員に!◆石川佳純さんの【わたし大賞】は?

◆私が選定委員になったのは、三井住友信託銀行主催の【わたし大賞】という賞だ。歌人の穂村 弘さん、エッセイストの大平 一枝さんと詩人の私の3人で作品を拝見することになった。

◆自分のとってのすばらしい出来事や感謝したいあの人、愛すべきモノや忘れられないあの場所を讃え、エピソードを添えて「わたし大賞」という感謝を込めたを賞状を贈るというもの。

https://www.smtb.jp/personal/watashi-taishou

スクリーンショット 2023-08-31 21.45.55◆この5月に現役を引退された元卓球選手の石川佳純さんの【わたし大賞】は、小中高と一緒に過ごしてきた親友に贈りたい『ずっと最高の友達でいてくれてありがとう賞』だ。詳細は以下。

https://www.asahi.com/ads/start/articles/00412/
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◆〆切りは10月5日。選定委員紹介のプロフィール中で【わたし大賞】への私の思いも書いた。是非ご一読を!そして、是非、ご応募をお待ちしています!
https://www.smtb.jp/personal/watashi-taishou

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©FUJIKAWA Konosuke