k-fujikawa の紹介

詩人、児童文学作家。認知症の母の世界を描いて、十数年。介護も終わり、そろそろ時々つぶやいてみようかと。命や認知症について全国各地で講演中。著作に『マザー』『君を失って、言葉が生まれた』(ポプラ社)、『満月の夜、母を施設に置いて』(中央法規)、『やわらかな まっすぐ』(PHP出版)等。

詩「母の日記」◆2月4日(日)南足柄市講演

◆2月4日(日)の神奈川県南足柄市での講演のお知らせです。お近くの方は是非ご来場ください。◆母の日記は過去に書かれたものだったが、私には未来の方から私を導く励ましのように響いていた。今日は詩「母の日記」を。

母の日記
     藤川幸之助
認知症が進む中でも、
母は日記を書き続けていた。
日記は、毎日同じ文面で始まり、
幾行かの出来事が書いてあって、
毎日同じ文面で終わっていた。
時には前の日の日記を
そのまま写しているときもあった。

「知っているんだけど」と前置きしながら、
簡単な字を何度も何度も聞く母。
優しく教える父。
私が日記をのぞくと
母は怒ったように
書くのをやめてしまっていた。

日がたつにつれて、
誤字や脱字が目立ち、
意味不明の文が増えていく。

もう日記なんて書かなくなった母。
私はそんな母の日記をくりながら、
自分の名前の書いてある箇所だけを探す。
どんなにか母に心配をかけてたことにも、
ひどく母と言い争ったことにも、
私の部分には、
「あの子はやさしい子だから」と
書き添えてある。
いつか私が母の日記を読む日が
来るのを知っていたかのように
「あの子はやさしい子だから」と
必ず書き添えてある。
『支える側が支えられ生かされていく』
致知出版より

◆日時:2024年2月4日(日)PM 1:30〜PM 4:00
◆場所:神奈川県南足柄市 南足柄市文化会館小ホール(定員292席)
◆FAX・郵便はがき、Googleフォーム(チラシQRコード)での申込
◆令和5年度足柄上地区在宅医療・介護連携推進事業 地域講演会
◆お問い合わせ
足柄上地区在宅医療・介護連携支援センター
電話:0465-43-8172
©FUJIKAWA Konosuke
【詩・文】藤川幸之助

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詩「手をつないで見上げた空は」◆1月28日(日)大牟田市講演

◆この度の「令和6年能登半島地震」により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。想像もつかないほどのおつらい日々が続いていらっしゃると拝察いたします。被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

◆本日は、詩「手をつないで見上げた空は」と1月28日(日)の福岡県大牟田市での講演のお知らせです。

手をつないで見上げた空は
藤川幸之助
幼い頃
手をつないで見上げると母がいた
青空は母よりもっと遠くにあって
大きな白い雲が一つ流れていた
幸せのことなんて考えたことなかった
私がつまずき失敗をすると
私の手を両手で優しく包んで
母はいつも青空の話をした
雲が流れ雲に覆われ
青空は見えなくなり
時には雨が降るから
青空を待ちこがれて
青空の美しさに
心打たれるんだと
何度失敗して何度つまずいたことか
そして何度この話を聞いたことか
認知症の母との日々の中で
苛立ちという雲が出て
悲しみという雨が降った
私は何度も失敗してつまずいても
母は何も言ってくれなくなったが
手をつないで散歩をすると
いつも母は静かに空を見上げていた
青空がただ頭上に広がっている
幸せもまたただあるもの
求めるのではなく
気づくものなんだ
と母と手をつないで
空を見上げるといつもいつも思う
『支える側が支えられ生かされていく』
致知出版より

◆日時:2024年1月28日(日)
PM 1:00〜PM 3:00
◆場所:福岡県大牟田市
大牟田文化会館・小ホール
◆事前申し込みが必要です。
電話0944-85-0470
◆認知症ケア・市民向け講演
◆お問い合わせ
大牟田市介護サービス事業者協議会 (大牟田市役所福祉課内)
認知症ライフサポート研究会
電話:0944-85-0470
©FUJIKAWA Konosuke
【詩・文】藤川幸之助

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私【わたし大賞】選定委員に!◆石川佳純さんの【わたし大賞】は?

◆私が選定委員になったのは、三井住友信託銀行主催の【わたし大賞】という賞だ。歌人の穂村 弘さん、エッセイストの大平 一枝さんと詩人の私の3人で作品を拝見することになった。

◆自分のとってのすばらしい出来事や感謝したいあの人、愛すべきモノや忘れられないあの場所を讃え、エピソードを添えて「わたし大賞」という感謝を込めたを賞状を贈るというもの。

https://www.smtb.jp/personal/watashi-taishou

スクリーンショット 2023-08-31 21.45.55◆この5月に現役を引退された元卓球選手の石川佳純さんの【わたし大賞】は、小中高と一緒に過ごしてきた親友に贈りたい『ずっと最高の友達でいてくれてありがとう賞』だ。詳細は以下。

https://www.asahi.com/ads/start/articles/00412/
スクリーンショット 2023-08-31 21.54.50

◆〆切りは10月5日。選定委員紹介のプロフィール中で【わたし大賞】への私の思いも書いた。是非ご一読を!そして、是非、ご応募をお待ちしています!
https://www.smtb.jp/personal/watashi-taishou

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©FUJIKAWA Konosuke

なかなか届かなかった場所◆詩「旅立ち」

◆教師を辞めて20数年が経つ。そこから1回1回大切にやってきた。
100回とかできるのだろうかと思っていた。
◆講演会の話だ。講演では詩の朗読を交え、認知症の母の体験を話してきた。
詩人としては朗読の場でもある。
◆9月3日(日)のいなべ市の講演で490回目の講演会になる。
このコロナ禍で500回目が遠かったが、もう後ろ姿が見えてきた。
◆その上、9月16日(土)の福井市での講演会で、
全国全ての都道府県を講演で回ったことになる。
◆今日は教師を辞めて、詩人として独り立ちし講演を始めた時に書いた
詩「旅立ち」を。
【9月の講演会のご案内】は詩の後に。

旅立ち
  藤川幸之助
昔、旅立ちに
人が別れを惜しんだのは
旅が命がけだったから。
時には道に迷い
時には病に倒れ
目的地にたどり着けない
者も多かった。
目的地にたどり着いた者は
口々に言う。
この一歩一歩の歩みがなければ
この一日一日の歩みがなければ
ここにはたどり着けなかったと。
命がけとは
その一日一日の
その一歩一歩に
自分の命の重みをかけること。
さあ、旅立つ時が来た!
©FUJIKAWA Konosuke

【9月の講演会のご案内】
http://www.k-fujikawa.net/lecture.php
◆2023年9月3日 (日) PM 1:30〜PM 3:30
会場 三重県いなべ市 北勢市民会館さくらホール 参加無料
講演内容 令和5年度・世界アルツハイマー月間・特別講演
申し込み・問い合わせ NPO法人・快生教学会
電話:0594-37-7062 (ポスターに申し込み方法があります)

◆2023年9月16日 (土) PM 1:00〜PM 3:00
会場 福井県福井市 福井商工会議所 コンベンションホール
(会場 100名・ZOOM 80名)無料 *ZOOMでの視聴が可能です。
講演内容 アルツハイマーデー記念講演会「支える側が支えられるとき」
問い合わせ 認知症の人と家族の会 福井県支部(嶺北認知症疾患医療センター内) 
安江恭代さん 電話:0776-28-2929 (ポスターに申し込み方法があります)

◆2023年9月23日 (土) PM 2:00〜PM 4:00
会場 愛知県蒲郡市 蒲郡市市民会館中ホール(先着400名)参加無料
講演内容 蒲郡市地域包括ケア市民向け研修会「支える側が支えられるとき」
問い合わせ 蒲郡市役所・長寿課 
電話:0533-66-1105

人生からの問い◆詩「問いは」

◆コロナの時期だったからだろうか、「この人生にどんな意味があるのか?」と、問うてみたくなる時があった。
◆アウシュビッツを生き抜き、『夜と霧』の作者V・E・フランクルは、問うのは人ではなく人生なのだと言う。
◆「私たちは問われている存在なのです。私たちは、人生がたえずそのときそのときに出す問い、「人生の問い」に答えなければならない」*と。
◆「あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに絶望していない」*ともV・E・フランクルは言う。
◆人生の出す問いに自分なりの答を出しながら前へ進むそれ自体が、生きることではなかろうか。答を出すことではなく、答を出そうともがくこと、それが生きることではなかろうかと思うようになった。今日は詩「問いは」。
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問いは
   藤川幸之助
問いは
問われることも
問うことも
あまり得意ではなかった
ただそこにいて
自分に答えてくれる人を
待ち続けた
問いに
空は答えなかった
問いに
海も答えようともしなかった
猫は近づき
問いをなめ回した
犬は片足をあげ小便をかけて
どこかへ行ってしまった
答えが間違えていても
正解でも
答えがいくつも見つかっても
答えが無くても
問いには関係なかった
ただそこにいて
答えをまった
いや答えを待たないこともあった
ただ問いのまま
人に見つめられ
人の頭の中で
ぐるぐると巡り続けることが
実は問いにとっては
一番の楽しみだった
       詩集『おならの生きがい』(未刊)より       
*『それでも人生にイエスを言う』(春秋社 山田邦男 訳)
©Konosuke Fujikawa【詩*藤川幸之助】
◆自選・藤川幸之助詩集(致知出版)
 【支える側が支えられ 生かされていく】
 詳細は◆https://amzn.to/2TFsqRT
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多くの方々に詩を読んでいただければと思っています。