谷川俊太郎さんとの詩集が7刷!facebookpage700Likes!◆感謝を込めて詩「扉」朗読

◆詩集『満月の夜、母を施設に置いて』(中央法規出版)の奥付には、「2008年6月10日初版第1刷発行」と書いてありますので、5年をかけての7刷り。詩人・谷川俊太郎さんと画家・松尾たいこさんと作った本です。私の詩に十数点もの松尾たいこさんの美しいアクリル画が添えてあります。そして、本の最後に谷川俊太郎さんと私との対談「母から詩が降ってくる」が掲載されています。◆この詩集『満月の夜、母を施設に置いて』は、NHKの番組の中でも朗読された谷川俊太郎さんの詩「ただ生きる」が初めて掲載された詩集でもあります。「あとがき」の代わりにこの詩はどうかなあと、奥の部屋から谷川さんが持ってきて、ホイと気軽に手渡してくださったのを憶えています。◆この詩集の中の詩「扉」を、読者の皆さんに感謝の気持ちを込めて朗読します。この詩「扉」は、2000年に出版した詩集『マザー』(ポプラ社)の中の詩「萩の花びら」に、何度何度も筆を入れながら書きつないできた私にとっても大切な詩です。(YouTube動画の中の後の絵は本文p68の松尾たいこさん絵の原画です。)◆追記:facebookページを立ち上げて1ヶ月、皆さんのおかげで700Likes(いいね)。心より感謝しています。

YouTube 朗読 詩「扉」藤川幸之助

【 扉 】      (藤川幸之助)

母を老人ホームに入れた

認知症の老人たちの中で
静かに座って私を見つめる母が
涙の向こう側にぼんやり見えた
私が帰ろうとすると
何も分かるはずもない母が
私の手をぎゅっとつかんだ
そしてどこまでもどこまでも
私の後を付いてきた

私がホームから帰ってしまうと
私が出ていった重い扉の前に
母はぴったりとくっついて
ずっとその扉を見つめているんだと聞いた

それでも
母を老人ホームに入れたまま
私は帰る
母にとっては重い重い扉を
私はひょいと開けて
また今日も帰る

『満月の夜、母を施設に置いて』(中央法規)
藤川幸之助facebookページ http://www.facebook.com/fujikawa.konosuke