フリーズドライの味噌汁◆詩「私というもの」

◆朗読すると詩が息を吹き返す時がある。フリーズドライの味噌汁がお湯を注がれた時のように、水で戻した乾燥ワカメがまるで海の中で揺らぐみずみずしさを取り戻した時のように。実は言葉になってしまった詩の後ろにはもっと豊かな世界が広がっていて、詩は朗読されてはじめてその本当の姿を現す時があるのだ。◆10月9日(土)の講演会はいつも詩を書いている仕事場からの配信だった。300名を超える申し込みがあったと聞き頬を赤らめたが、講演の数時間前にブレーカーが落ちて青ざめた。自分のフィールドでの朗読というのもあって、ある詩の朗読の時、その詩を書いた時の情景や思いが頭の中でフリーズドライの味噌汁さながら広がって、私は感極まって涙ぐんでしまった。詩が息を吹き返したのだ。◆聞いておられる方にとってもほぼ1対1での講演で、直接私が話しかけている感じがするのだろうか、「普段の会場での講演より臨場感があってとてもよかった」との感想ももらった。今日のブログは手前味噌ならぬ、手前ワカメの味噌汁の話になってしまった。■次の講演も仕事場からの講演会です。心を込めて朗読をしたいと思います。申し込みが必要ですが、無料で誰でも聞くことができます(定員は100名、10月25日(月)〆切り)。
【オンライン講演会のお知らせ】
◆日時 20021年10月30日(土) 午後2時〜4時
・「支える側が支えられるとき〜認知症の母が教えてくれたこと〜」
・ZOOMを使っての仕事場からの配信になります。
◆参加無料(定員100名・先着順)
◆主催・熊本県人吉球磨・在宅医療介護連携推進事業
◆申し込みは、以下の写真のチラシをご覧ください。(10月25日(月)〆切り)
※詩の朗読を交えての講演です。是非、聞いていただければと思います。
人吉球磨チラシ
私というもの
        藤川幸之助
認知症の母の姿を
見つめていたようで
実のところ私はずっと
自分自身の姿を
見つめていたのだ
同じ一つの大きなものを
違う側面から見つめるように
私というものが
母の姿をして
私の前に生き続けていたのである
「支える側が支えられ 生かされていく」(致知出版)より
みなさま、宜しければ「シェア」をお願いします。
多くの方々に詩を読んでいただければと思っています。
©Konosuke Fujikawa【詩・文*藤川幸之助】
◆自選藤川幸之助詩集
 【支える側が支えられ 生かされていく】
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◆エッセイ集
「母はもう春を理解できない
 〜認知症という旅の物語〜」
◆絵本・こどもに伝える認知症シリーズ5
 絵本『じいちゃん、出発進行!』
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◆絵本・こどもに伝える認知症シリーズ4
 絵本『赤いスパゲッチ』
◆絵本・こどもに伝える認知症シリーズ3
 絵本『一本の線をひくと』
◆絵本・こどもに伝える認知症シリーズ2
 絵本『おじいちゃんの手帳』
◆絵本・こどもに伝える認知症シリーズ1
 絵本『赤ちゃんキューちゃん』
◆絵本こどもにつたえる認知症シリーズ全5巻
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©Konosuke Fujikawa【詩・写真*藤川幸之助】
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ウェビナーはじめました。◆詩「本当のところ」 

◆ウェビナーとはウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語で、オンラインで配信する講演やセミナーのこと。カメラのレンズに向かって話すのでは、モチベーションが上がらないという理由でずっと断ってきた。全国で500回近く講演をしてきたが、講演というのは、聞いている方々の反応を見ながら、ともに作り上げているものだと思ってきたからだ。◆しかし、このコロナが続く状況ではと、この8月から重い腰を上げた。生命保険会社のオンラインセミナーで、その会社の長崎支社から社員350名ほどの方々にウェブ配信して聞いていただいた。切り替わっていく講演を聞いている方々の顔を一人ひとりを拝見していると、顔が直接大きく見られるのもあって感情や思いというものはウェブであろうとなかろうと伝わっていくものだと実感した。◆味を占めて、10月は2度、講演をライブでオンライン配信する。2度とも私の仕事場からの配信だ。Macに専用カメラを取り付け、マイクも用意した。さあ始めるしかない!◆以下、オンライン講演会のお知らせです。どなたでも参加できます。◆今日の詩はその講演会で朗読する詩「本当のところ」です。
◆日本尊厳死協会・オンライン市民公開講座
日時 10月9日(土)14:00〜16:00    
講演 藤川幸之助
「支える側が支えられるとき〜認知症の母の命を看取って」
※オンライン配信(ZOOM)事前登録制
◆詳細・お申し込みは以下へ
https://songenshi-kyokai.or.jp/kyusyu/archives/271
本当のところ
  藤川幸之助
胃瘻から栄養を入れることができないので
高カロリー輸液を
母に中心静脈から入れるかどうか
医師に尋ねられた
「母はもうくたびれています
 もうゆっくりさせたいので
 入れないでください」
と、私は言って帰った
これが私の本当のところ
するとそう延命というわけでもないし
入れていいんじゃないかと
妻が言い
兄も
医者をしている兄の娘も
入れるのに一票投じた
本当は私の一存で
母の殺していいのかと思っていたので
安心したというのも本当のところ
静脈から高カロリーを入れて
元気になっても
この肺の状態では一二ヶ月後肺炎になって
またこんな状態になるのは目に見えている
母を生かし続けるのに
罪のようなものを感じた
実はこれも本当のところなんだ
いつもは不携帯の私が
便所に入るときも
風呂に入るときも携帯して
夜中何度も何度も枕元の携帯電話を確かめる
母の死にびくびくするこんな日々が
また続くのかとも思った
「私はもうくたびれています
 もうゆっくりしたいので
 入れないでください」
と、私は言いたかったのかもしれない
これもまた本当のところ
 「支える側が支えられ 生かされていく」(致知出版)より
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©Konosuke Fujikawa【詩・文*藤川幸之助】
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インタビュー◆7月25日・長崎新聞

◆本日の長崎新聞で私のインタビューが掲載されました。長崎の方は紙面でも、長崎以外の方はネットでご覧ください。◆エッセイ集「母はもう春を理解できない 〜認知症という旅の物語〜」と◆絵本こどもにつたえる認知症シリーズ全5巻の紹介も掲載されています。◆オリンピックの合間にでも是非ご覧ください。©Konosuke Fujikawa
https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=791860692244447232
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写真は長崎新聞社・7月25日より

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本日、毎日新聞・朝刊記事◆絵本で伝える認知症

◆本日の毎日新聞・朝刊「滝野隆浩の掃苔記」で拙著「絵本こどもにつたえる認知症シリーズ全5巻」が記事になりました。◆この絵本シリーズを作りにあたり、認知症介護の本、認知症ご本人が書かれた本、医学書など50冊近くの書籍を読み、認知症に関する知識を子どもたちに伝えるだけでは不十分だという思いに至りました。そこで、「認知症を伝える」のではなく、「認知症で伝える」をテーマに、子どもたちに認知症の知識を伝えるとともに、認知症の方本人の「痛み」や認知症の方々を支える家族などの「痛み」を伝えたいとこの絵本シリーズを、構想も含めると5年がかりで完成させました。是非、学校や介護施設などでお使いください。◆この絵本シリーズを作ろうと思った経緯やその思いの詳細について、毎日新聞・編集委員の滝野隆浩さんが「絵本で伝える認知症」というタイトルで書いてくださっています。読んでいただければ幸甚です。 ©Konosuke Fujikawa【文・藤川幸之助】
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https://mainichi.jp/articles/20210704/ddm/012/070/106000c
↑↑↑毎日新聞の記事 

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「アデュカヌマブ」◆詩「領収証」

C青い星が余剰になった話-2
◆父が亡くなって数年経ってからのことだった。認知症の母の病室に行くと、白い薬が処方されていた。尋ねると、「アリセプト」という認知症の薬だった。あんなに遠くにあった薬がやっとここまでたどり着いたのかと思った。◆この薬の日本での臨床開始が1989年、アメリカが1991年、母が認知症と診断されて数年後のことだった。父は書物を渉猟し、認知症の症状を遅らせる「アリセプト」という薬があることを知った。この薬は1996年11月いち早くアメリカで承認された。◆不治の病と言われていたアルツハイマー病への一縷の希望だった。母の病気の進行を早く止めてあげたいと、父はアメリカまで行く覚悟を決めた。その旅費や薬代捻出のために、父は爪に火を点すように暮らした。「日本の製薬会社が作ったのに、なんでアメリカまで行かなければ手に入らないのか」と父は不満げだった。母の介護に疲れ果て、1997年父は失意のうちに持病の心臓病で世を去った。「アリセプト」の日本での承認は臨床が始まって10年後の1999年だった。◆認知機能の低下を抑える世界初の薬「アデュカヌマブ」という認知症の薬が6月7日アメリカFDAにより承認され、日本でもすでに承認を申請しているとのことだが、年間の薬剤費は一人約613万円になるとも聞く。この薬こそは一縷の希望のままではなく、一刻も早く一人でも多くの認知症の方やそれを支えている家族を救う薬になってほしい。©Konosuke Fujikawa
詩集【支える側が支えられ 生かされていく】◆https://amzn.to/2TFsqRT

領収証

              藤川幸之助
父は
おしめ一つ買うにも
弁当を二つ買うにも
領収証をもらった
そして
帰ってからノートに明細を書いた
「二人でためたお金だもの
 母さんが理解できなくても
 母さんに見せないといけないから」
と領収証をノートの終わりに貼る父
そのノートの始まりには
墨で「誠実なる生活」と父は書いていた

私も領収証をもらう
そして母のノートの終わりに貼る
母には理解できないだろうけれど
母へ見せるために
死んでしまったけれど
父へ見せるために
アルツハイマーの薬ができたら
母に飲ませるんだと
父が誠実な生活をして
貯めたわずかばかりのお金を
母の代わりに預かる
母が死んで
父に出会ったとき
「二人のお金はこんな風に使いましたよ」
と母がきちんと言えるように
領収証を切ってもらう

私はノートの始めに
「母を幸せにするために」
と書いている
 「支える側が支えられ 生かされていく」(致知出版)より

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©Konosuke Fujikawa【詩*藤川幸之助】
◆自選藤川幸之助詩集
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